治療の流れ

治療の流れ

施設写真

 

 私たちの診療所へお越しいただきましてありがとうございます。
 今回ご来院なされた理由は、歯が痛い、腫れた、歯肉から血が出るなど様々でしょうが、多くの方が歯科の治療に対して恐怖心や不安感を抱いていることと思います。そういった気持ちが歯科への不信となり、治療を中断しますます病気を悪くする原因となっています。
 とくに初めての診療所では、初めてのジェットコースターに乗るときやお化け屋敷に入るのと同じでかなり緊張なされていることと思います。 何回か通われるうちにそういう気持ちも薄れていくでしょうが、少しでも早くそういった気持ちを消すためには、当院の治療の仕方を理解していただくのが一番だと思います。
 私たちの診療所では、いかに健口な歯でより快適な生活を送れるか、いかにおいしく食べられ楽しい毎日を過ごせるかー高齢化社会を迎え人生の質が問われるようになった昨今、そういったご要望に少しでも答えられるよう考えています。
 また、治療の仕方についても、痛くなく、衛生的に、経済的になど個人個人によって様々なご要望があると思いますが、なるべくそういったご期待に沿えるように、最高の技術や設備、システムをと常に努力しております。
 初めての診療所で不安と期待が入り交じっていることと思いますが、皆様が健口でいられるように、また、皆様の様々なご期待に答えられるように努力をしていきます。また、何よりもお互いの信頼関係がなくては、治る病気も治らなくなりますので、わからない点や疑問な点がございましたらご遠慮無くお尋ねください。

お口の背景

 私たち人間は一人で生きなければなりませんが、決して一人では生きていけません。さまざまなネットワークの中で生きています。
 同じように1本1本の歯もばらばらでありながら、関係しあって口を構成しています。また、全身的な病気で口の中に症状が現れることもありますし、逆に口の中の病気が、腎臓を悪くしたり、アレルギーや他の病気の原因になることもあります。
 したがって歯だけをみていくのではなく、口の中やからだの中全体、ひいては家族や社会全体をみながら健康を考えていく必要があります

痛みの理由

 むし歯や歯周病をはじめ多くの病気は細菌が原因です。最近では腫瘍や血液疾患の一部もウィルスが原因で起こることがわかってきました。
 そんな細菌たちや組織から個を守るために、体にはいろいろな防御機構があります。皮膚や歯の表面が破壊され細菌たちが体に侵入するようになると、体はさまざまな痛みを発して注意を促します。いわば痛みは防犯ベルのような役割をしており、その時に痛み止めを飲むだけでは音を消しているだけで実際には細菌たちは体に入りつづけているのです。一方、体の防衛軍の白血球をはじめとする免疫連合軍はその間も必死に戦っているわけで、安静や栄養が私たちに必要なのに、痛み止めを飲みながら疲労をためれば、やがて、体は破壊されてしまいます。何もしないで痛みが消えたというのは、病気が治ったか、あるいは体が破壊されたかのどちらかなのです。

治療の前に


 まず、痛みを取るなど応急処置をおこないますが、そのあとは患者さんの環境を考えて痛みの原因を探る様にしています。環境が悪くてはいくら治してもまた破壊されますし、新たな病気が引き起こされます。まずは病気のリスクが高ければ、環境を変えて、リスクをなるべく少なくなるようにしてから、実際の治療を始めます。
 例えば、ほとんどの人が歯を磨いてはいますが本当に磨けている人は少ないのでその指導が必要です。また、食生活や習癖、全身状態によっても病気は左右されますので、そういったチェックも必要ですし、歯自体にも弱い強いがあり、フッ素の利用で歯の結晶を強化することにより欧米ではかなりむし歯の数を減らすことに成功しましたのでその利用も有効でしょう。古いつめ物のまわりや歯並びの悪い所でどうしてもごみの溜まりやすい所は再治療や矯正の必要があるかも知れません。<BR>
 面倒でも歯ブラシの指導、食事の仕方、フッ素の使用、レーザーや薬剤による除菌などにより口の中の環境を改善することが結局は治療時間も短縮できますし、治療の痛みも少なくなり、新たな病気も生じにくくなり、快適な治療ができます。
 当院では患者さんのリスクにあわせて、そういった予防プログラムを治療前とリコール時に行っていきます。

いくつかの治療方法

 治療の仕方は決してひとつではなく、同じむし歯でも進行性のものは早期の治療が必要でしょうし、そうでないものはむやみに削ることなく経過を追いながら必要なときに治療すればいいわけで、口の環境によっても治療の仕方は変わってきます。
 慢性的な病気のときは強い薬を使うよりも東洋医学やホリスティックな医療を利用して食事や生活の仕方を変えることの方が有用でしょう。
 また、お口の中は酸やアルカリの食べ物や唾液で嵐のような環境ですので、被せたりつめたりするようなときには溶けにくく、アレルギーの起こりにくい貴金属や陶材を使うことがからだには安全ですが、見た目を考えるとまた治療方法は変わってきます。
 いくつかの治療方法を説明するようにしていますので、わからない点はどんどんお尋ねください。

衛生的な治療

 エプロン、コップ、手袋、タオルなど再度滅菌して使用できないものは使い捨てにし、診療器具など滅菌できるものは資源の保護を考え、オートクレーブで完全滅菌をして使用しております。また、診療中手に触れる部分は透明ラップでカバーをし清潔が保たれるようにしています。
 さらに削る道具もすべて滅菌して使用しておりますが、希望される方にはその人専用の器材を取りそろえることも可能です。

やさしい治療

 本当に痛みが激しくなると麻酔も効きにくくなり、それが歯科嫌いの要因となっているようです。したがって治療の痛くない早期に治療することが、それには定期的に検診を受け早期発見・早期治療を心がけることがベストです。
 治療の際には削るのが嫌な人と麻酔の注射が嫌な人がいますが、私たちの診療所では麻酔をする場合には体温に温めた麻酔薬と細い針を使い、呼吸にあわせて痛みのないように行っています。さらに注射嫌いの人には笑気を口からかがせる鎮静法を行うこともできます。
 なるべく衛生的、安全な治療と むやみに削らない、抜かない、害のある薬を使わないなどやさしい医療を心がけます。

診療時間の予約制について

 歯科の治療はほとんどが外科手術であり、ある程度の時間もかかり、また滅菌のための時間も必要です。
 そのため、貴重な時間を無駄にしないように、診療時間を予約制とさせていただいておりますので、なるべく時間通りご来院して下さるようお願い申し上げます。
 また、一人の患者さんの遅刻や、急な痛みの患者さんへの予定外の治療などで、多少のずれが生ずることもありますので、勝手ですがその旨併せてご了承下さるようお願い申し上げます。

治療費について

 私たちの仕事は大量生産できるものでも、一度に多くの人の相手ができるのでもない、手仕事のあまり効率のよくない仕事です。基本的には一人の患者さんから、その時間分の固定経費、材料代、技工代、そして私たちの人件費をいただかなくてはなりませんから、どうしても治療費は高くなってしまいます。
 社会保険制度では医療費抑制の名目のもと、厚生省は効率的な医療を私たちに求めていますが、家賃などの固定経費は下げられず、材料の節約にも限度があり、看護婦、スタッフたちの低報酬や批判の多いいわゆる3分診療により効率化を計っているのが現状であり、それでも多くの病院は赤字経営となっています。
 小さな診療所では診療時間を延ばしたり、小回りを効かせて対処しているのですが、それも限界で社会保険制度自体を見直さなくてはならない時期に来ているように思います。
 さて、歯科においては保険診療の赤字分を自費診療でカバーしているのが現状ですが、その価格のつけ方は非常に難しく、私たちの診療所では実際に必要とする診療時間を基本として、使用する材料・技工代、人件費を加算し、自費料金を設定し、治療計画を示しながら、ご希望により、保険診療と自費診療を使い分けることによって、クリーンで、経済的な治療が行えるように努力しています。

治療時間について

 どのくらいで治りますか?どのくらい持ちますか?よく受ける質問ですが、私たちの仕事は機械的に歯を削り、被せるのではなく、口の中の病気を取り除くことです。歯の中の歯髄の治療や歯周病の治療は、風邪をひいたとき、その細菌の種類や全身の状態により治療時間が異なるのと同じで、はっきりとどのくらいで治りますよとは言えないのです。
 また、治療を終えてもかなり悪くなっていた歯を治療した場合にはまた悪くなる可能性が高いですし、再び細菌が感染すれば再治療が必要となる場合もあります。口の中は飲食物と呼吸で嵐のような状態ですので、車ですら10年持たせることが大変なように、長く口の健康を保つには、定期検診が重要となります。

治療が終わったら

 治療が終わっても口の中が汚れっぱなしでは台所のゴミバケツの中に買いたての洋服を入れておくようなもので、長くは持ちません。そのため当院ではリコールシステムを取り入れ、治療後のメインテナンスを行っています。
 その間隔は患者さんの口の環境により、1ヶ月おきの方から2,3年おきの方までさまざまです。葉書が届きましたら、都合のいい日をご予約の上、来院ください。
 検診と汚れの除去、フッ素塗布、噛み合わせの調整、口の中の除菌などを行っていきます